エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~

すると彼は唐突に起き上がり、強く抱きしめてくる。


「ごめん。しばらくこうしてていい?」
「……はい」


一瞬体がこわばったけれど、力を抜いた。
彼の腕の中はあの頃と変わらず温かかった。


「忍がすごく大切な人だったことだけはわかる」


もう、それで十分。


「焦らないでください。私は今、宏希さんに新しい幸せをいただいています。以前とは違う関係でも、それで十分です」


それは本音だった。

もちろん彼がすべてを思い出して、私と和宏を迎え入れてくれたら最高だ。

でも、幸せの形はそれだけではないような気がしている。


和宏という命を授かり、家族としてではなくても近くにいられる。
しかもこれほど大切にされて……。

彼のもとを去ったときにすべてをあきらめたのに、今は理想に近いところにいる。
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