エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
「はい。さっき見えた陸上競技場で三月に全国大会があって、注目している選手が出場するので見に来たんです。私も興味があると言ったら連れてきてくださって……。でもその日はひょうが降るほど大荒れの天気で、冷えてしまったのでここに飛び込みました」
選手もコンディション維持が難しく、いい記録は生まれなかった。
そのときの様子を話すと、彼は窓の外に視線を移して必死に思い出そうとしているのがわかる。
「俺、そのあと熱を出さなかった?」
ボソリとつぶやいた言葉に目を瞠る。
「出しました。三十九度近い熱が出て、体を冷やし過ぎたからだとお医者さまに言われて……。あのとき、寒がっていた私にダウンコートを脱いでかけてくれたから……」
どれだけ断っても『女の子は体を冷やさないほうがいい』と譲らなかった。
そんな彼の優しさに、胸が熱くなったのを覚えている。