エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~

「以前浅海さんが、芽が出そうにない人間を叱る暇はないとおっしゃっていました。沖さんもおそらく同じ考えをお持ちかと」


宏希さんが事故に遭う前、後輩にそう諭していたことを思い出した。


「そう、でしょうか……」

「はい。この資料、おそらく主張の根拠が足りないんだと思います。他社より優れているだけでは伝わりません。もっと具体的な数値をちりばめたり、実際に使っていただいている選手の声を盛り込んだりすればよくなりますよ。今、使えそうなデータを出しますね」


ざっと見たところではそう感じたので、パソコンの中のめぼしいファイルを開き始めた。


「波多野さん、事務なのにすごいです」

「私は……浅海さんの資料をいつも見ていましたから。それを真似ているだけです」


私の視点は、宏希さんならこれをどう仕上げるだろうというところにある。

だから私がすごいのではなく、宏希さんがすごい。
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