エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~

そんなことをふと考え、声が震える。


「それはわかりません。浅海さんとお話しして、どれくらいの期間の記憶がないのか確認することから始めましょう」

「それは期間の問題ですか?」

「と言いますと?」

「例えば……ほとんど覚えているのに、私のことだけ――」

「波多野」


先生との会話に割って入ってきた沖さんは、首を横に振る。


「言っただろ。浅海は波多野のことをすごく大切に思ってるんだ。期間の問題だ」

「波多野さん、ずっと記憶が戻らないと決まったわけではありません。日常を取り戻せば、なんらかの拍子に突然記憶がよみがえる可能性もあります。肩を落とさないでください」


橋本先生は私を励ますように言ったが、『可能性がある』だけで『必ず思い出す』とは口にしなかった。
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