エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
「和宏くん、また遊ぼうな」
あきらめたように和宏を下ろした宏希さんを見て、心が大きく動いた。
「メッセージのIDでいいですか?」
「……もちろん!」
宏希さんは目を大きくして一瞬信じられないという顔を見せたが、すぐに笑顔になった。
もうとっくに型落ちのスマホを取り出し、IDを表示して彼に見せる。
すると彼は最新型のスマホにそれを打ち込み、「ありがとう」と切なげな笑みを浮かべた。
「バイバーイ」
和宏は、彼の車が見えなくなるまで興奮気味に手を振っていた。
「ママ、ボールくれるって!」
「そうだね」
返事をしながらどこか上の空。
まだ独身だなんて意外だった。
予算カットの話はどうなったのだろう。
あれから予定通りスポンサー契約を交わしたので、間違いなくお見合いをして結婚に至ったと思っていたのに。
そんなことを私が考えても無意味か。
もう会社にも宏希さんにも関係ないのだから。