エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~

「頼む」
「でも、奥さまに悪いですから」


他の女と――しかも昔付き合っていた女と連絡を取りあっているなんて知ったら、私ならいい気はしない。


「俺、独身だよ。彼女もいない。だからその点は心配いらない」


まさかの事実に驚愕して彼を見つめる。


「両親に結婚を迫られたけど、俺が求めている人はその人じゃないとなぜか強く感じた。そしてそれが間違いじゃなかったと、今日わかった」


それは、どういう意味?


「俺……記憶がなかったとはいえ謝っても済まないほど、波多野さんを傷つけたと思う」


和宏が自分の子だと確信したということ?

そう言われた瞬間、不覚にも涙がこぼれそうになりグッとこらえる。

彼にしがみついている和宏に見られなくてよかった。


「大切な時間を、どうして忘れてしまったんだ……」


悔しそうに吐き捨てる宏希さんは、話が呑み込めずキョトンとしている和宏の頭を撫でている。
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