エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
階段はなく、ジャングルジムを上って滑る構造。
これに上れたと、保育園のお友達が自慢げに話していたと何度聞かされたことか。
「和宏、大丈夫?」
「うん!」
彼は自信満々だが、私は心配でたまらない。
そこそこの高さがあるからだ。
不安げな視線を向けていると、宏希さんが私に目配せしたあと、和宏に続くようにジャングルジムに足をかけた。
「なるほど……」
こうして真下からついていけば、もし和宏が足を滑らせても宏希さんが助けられる。
しかも、成功すればおそらく自分で上れたという自信になる。
だから宏希さんは私に目配せだけしてなにも言わなかったのではないだろうか。
母親を四年してきた私より、彼のほうが和宏のことをわかっている気さえする。
宏希さんがあとをついていくおかげで、それからは安心して見ていられた。
危なっかしい感じはあったものの、見事に最上部に到達した和宏は満足げな笑みを浮かべて私に手を振る。