エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
私だって本当は心配だ。
でも、預けるところもない。
【はい。保育園も土曜の利用は事前申請がいるんです。急で預けるところがないので仕方ありません】
【そうか……。気をつけて行ってきて】
【ありがとうございます】
それから急いで支度を整えた。
「和宏、本当にごめんね。できるだけ早く帰ってくるから、そうしたら遊ぼうね」
ふすまを少し開けてのぞいたけれど、彼は不貞腐れて布団にくるまっている。
ひとり親のせいか、彼は同年代の他の子より大人びているように感じる。
甘えたくても甘えられない状況になったり、今日のように我慢させたりさせることが申し訳なくてたまらない。
でも、働かなければ生きていけない。
「和宏。キッチンには近づかないでね。誰かが来てもカギを開けちゃダメ。本当にごめん。行ってくるね」
私はうしろ髪を引かれる思いで家を出た。