リペイントオレンジ🍊


***


「里奈」

「あ〜!!来た来た!遅いよ、心音〜」

「ごめん、来る途中で知り合いに会って」

「心音の席は、ここね。ちゃんとキープしといたんだから〜」


私に気付くなり、パァッと顔を輝かせる里奈は相変わらず。昨日の電話と何一つ変わらないテンションで、私の背中をバシバシ叩きながら、"何飲む〜?"と、どんどん話が前転していく。


最近、飲みすぎていい事がなかったし。
ここはひとつ、ウーロン茶でも頼もうか……と、メニューのソフトドリンク欄へ指を運べば、


「は?まさか、飲まないとか言う気?」

「……今日は、」

「ダメー!久しぶりに大親友様に会ったのに、飲まずに帰るなんて許しませーん!とことん付き合うって約束、忘れたの?」


里奈は許さないとばかりに、隣から睨んでくる。あぁ、里奈には昔から敵わないなぁ。


「じゃあ、ちょっとだけ……」

「そうこなくっちゃ!」


楽しそうに笑う里奈はこの上なく可愛いけど、少し離れたテーブルに菅野さんがいる……と思うと、飲みすぎだけは絶対ダメだと私の中の私が猛抗議してくる。

……しっかりアルコールセーブしないと。
私って、何杯目まで正常でいられるんだろう。



「俺も、仲間に入れてくんない?」
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