リペイントオレンジ🍊
「え……?」
「久しぶり、心音」
聞き覚えのある、懐かしい声。
振り向きたいけど、振り向きたくない。
だって、顔を見てしまったら……私の中の何かがおかしくなってしまいそうだと思ったから。
「おー!拓也〜!久しぶり〜!」
「元気だったか?」
だけど、私が振り向くまでもなく、周りのみんなが"カレ"だと言うことを知らせてくれる。
学生時代からずっと、人気者だったもんね。
人懐っこくて、誰とでもすぐ仲良くなれて、気さくで気取ってなくて、……みんなに優しい。
「おう。みんなも元気だった?」
「なんだよ!早速、尾崎の隣キープか?」
「ハハッ、バレた?」
「まさか、この同窓会でお前たち復縁?拓也、こっち戻ってくるんだろ?」
楽しそうに笑いながら、私としては心底笑えない冗談を飛ばし合う拓也とみんなに内心生きた心地がしない。
なんで、よりによって隣に座るのよ。
そんな苛立ちすら覚えてしまう。
「心音?」
「え、あ……久しぶり」
「元気だった?」
「うん。拓也も、元気そうだね」
当たり障りのない会話。
当たり障りなく微笑む。
だけど、内心。
2人のぎこちなさにドギマギしてる。