リペイントオレンジ🍊


私の勢いに負けた榊先生は、静かに頷いた。


「……危ないと思ったら、例え1人でも……すぐに避難して。これは主任命令だ」

「はい」


真っ直ぐ私を射抜く榊先生に、見透かされていないか不安になる。 だって……例え、主任命令に背くことになっても、私はきっと1人では逃げられない。

自分の生徒を守れずに、なにが教師だ。
蒼介くん1人に怖い思いなんてさせない。


榊先生の指示の元、アテンダントのお姉さんに付き添われて、榊先生のクラスと私のクラスの子どもたちが避難していく。


どうか、みんな無事に逃げられますように。


そう祈りながら、私は蒼介くんを探すべく施設内を入口とは反対に歩き出した。


「蒼介く〜ん??どこにいるの〜??」


地震の影響でブレーカーは落ち、外から射し込む僅かな明かりだけを頼りに進む。


「蒼介くん、聞こえたら返事して!きゃっ、」


再び強い揺れ。

立っていることさえ出来ず、その場にうずくまる。……早く見つけて外に出ないと、本当に危ないかもしれない。

そう思った時、近くでドンッ!!っと何かが爆発したようなひどく大きな音が響いた。
< 87 / 133 >

この作品をシェア

pagetop