リペイントオレンジ🍊
私の勢いに負けた榊先生は、静かに頷いた。
「……危ないと思ったら、例え1人でも……すぐに避難して。これは主任命令だ」
「はい」
真っ直ぐ私を射抜く榊先生に、見透かされていないか不安になる。 だって……例え、主任命令に背くことになっても、私はきっと1人では逃げられない。
自分の生徒を守れずに、なにが教師だ。
蒼介くん1人に怖い思いなんてさせない。
榊先生の指示の元、アテンダントのお姉さんに付き添われて、榊先生のクラスと私のクラスの子どもたちが避難していく。
どうか、みんな無事に逃げられますように。
そう祈りながら、私は蒼介くんを探すべく施設内を入口とは反対に歩き出した。
「蒼介く〜ん??どこにいるの〜??」
地震の影響でブレーカーは落ち、外から射し込む僅かな明かりだけを頼りに進む。
「蒼介くん、聞こえたら返事して!きゃっ、」
再び強い揺れ。
立っていることさえ出来ず、その場にうずくまる。……早く見つけて外に出ないと、本当に危ないかもしれない。
そう思った時、近くでドンッ!!っと何かが爆発したようなひどく大きな音が響いた。