側にいて
そう言った晴臣に。
「出なかったんじゃない。出れなかったんだ。」
智也さんはそういった。
「出れなかったって...」
そう呟く真幸。
そんな疑問に答えたのはいつの間にか出張から
帰って来ていた刹那だった。
「妹は意識不明の重体でICUに入っていたんだ
よ。重体の娘のために病院に駆けつける途中で殺
されたんだよ。だから。だからこそ、真実を知っ
た妹が傷付き、苦しんでいる姿を滴は見るのが嫌
なんだよ。」
誰も、何も言えなかった。
「滴は誰のせいにも出来なくて燻った憎しみを持
ってしまっていることに苦しんで、妹は自分のせ
いで親の人生を奪い、兄を悲しませてしまった
ことに苦しんで。それでもようやくお互いに前に
進めるようになったんだよ。だからさ、お前らご
ときが滴と涙のことに口出しすんじゃねぇよ。」
久しぶりに刹那の怒っているときの口調を聞いた
気がする。
刹那は怒ったとき口調が悪くなる。
つまり、今回は本気でキレているのだ。
隣を見ると智也さんも顔色が悪い。
勿論、自分も青ざめている自信がある。
裕香もガタガタと震えている。
他の幹部たちも青ざめている。
「そこのお姫さまも、自分が姫だってことにいい
加減自覚もてよ。滴は言わなかったか?
1人で家から出るなって。それを守らなかったの
はあんただろ?いい年して自分の勝手に人を巻き
込むなよ。あんたの勝手にどれだけの人が犠牲
になって傷ついてるのか分かってるの?それなの
に滴が刺されたら今度は自分のために犠牲になっ
た仲間にすがり付いて慰めてもらってさ、一体
何がしたいわけ?」