側にいて

ICUの前に着くと刹那は一度立ち止まった。

「涙、入るよ?」

そう聞く刹那に涙はしっかりと頷いた。

「ん。」

そう言って刹那はドアを開けた。

視界に入ってきたのはまず、甫と智也。

そして和泉。

それから四人の男の子と一人の女の子。

それからベッドに居る滴。

唖然としている男の子たちをチラリと見て

それからもう一度滴を見る。

部屋には滴に繋がっているモニターの音と

酸素マスクの音が響いている。

刹那がゆっくりと部屋に入ってくれた。

「涙、大丈夫だから。」

刹那のただ一言で安心する。

「ん。」

涙はコクリと頷いた。

刹那は滴の枕元で涙を下ろしてくれた。

涙は刹那とてを繋いでいない方の手で滴の手を

握った。

「滴、」


ポツリと滴の名前を呟いた。

それからゆっくりと甫を見上げて。

「甫ちゃん、大丈夫だよね?」

「ああ、大丈夫だ。少なくとも死ぬ可能性は

全く無いから。」

「ん。」

甫のその返事に涙は安心して頷いた。

甫が大丈夫と言ったら大丈夫だ。
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