秘密の恋はアトリエで(前編) 続・二度目のキスは蜂蜜のように甘く蕩けて
「えー、ほんと? まだなんだ。靭先生と」
 美岬が素っ頓狂(すっとんきょう)な声を出して驚いた。

「うん、そういう雰囲気になったことはあるけど、わたしの心の準備が整うまで待っててくれるって」
 
「ふーん、大人だからかな。あたしと付きあう連中は、会って5分もしたら、どうやって押し倒そうかって、それしか考えてないけど」

「ねえ、おかしいのかな。やっぱり、1年以上も付きあってて、その、してないのは……」

「うーん、そんなことないと思うよ。夏瑛が自分の上司の姪ってこともあるし、慎重になってるんじゃない? 大切にしてくれてるんだよ」

「そうなのかなぁ。そうじゃなくて、女として見てくれてない気がするんだ。それにこんな自分じゃ、靭にいちゃんと付きあう資格がないんじゃないかって」

 その言葉を聞くと、美岬は眉間にしわを寄せた。
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