戦争に塗れたこの世界はボードゲームで勝敗をつけてしまうようで。






























カラ…。

数ミリだけ扉を開けて中を覗く。

あの女の姿は見えない。

教室を間違えたのだろうか。

一旦廊下に戻って…。


そう思い、振り返ったその時だった。



「ねぇ、もしかして転入生?」



…1枚目のあの女だった。

眼鏡をかけた白髪の女。

此奴が天つ風の能力者か。

ぱっと見弱そうだと思ってしまった。



「そうだけど、アンタが僧正猫音(ソウジョウネコオト)?」


「へぇ、ボクの事知ってるんだね。」



彼女は私に少し微笑みながら言う。

ただ、直ぐに嘘だと分かった。


まぁでも私にはそんな事は関係ない。

私は猫音を無視して教室に入る。

全員が私に目線を向ける。

と、ワラワラと集まってきた。



「転入生かな?」


「そうじゃね?見たことねぇ服してるもん。」



そんな小声も聞こえてくる。

一応耳は良い方だ。

…この服はそんなに目立つものなのか。

まぁ目立ってもどうでも良いか。

理事長に言われた席に着く。

そして数分後には授業が始まった。









































「…簡単すぎる…。」


































この時間は体育なのだが、
とても簡単すぎて私は頭を抱えていた。

どーゆー事だろうか。

能力者がいるからもっとハードかと思ったんだが。

小学生の体育レベルだろ!!

課題を難なくこなしながら私は思う。

私を見ている生徒からは



「転入生凄い!!」


「本当に同い年…?」



なんて馬鹿げた声が聞こえる。

本当に意味が分からない。

何だこの簡単すぎる戦闘訓練は。

ん?

戦闘訓練している時点で小学生レベルじゃない?

馬鹿言え、だってこのレベルじゃ
秒で死んでるぞコレ。

…少なくとも私が生きてきた道は。


ああ、そう言うことか。

やっと理事長の言っている事が理解できた。
































此処にいる奴らは



私より戦闘経験が少なく死にやすい。



























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