戦争に塗れたこの世界はボードゲームで勝敗をつけてしまうようで。
つまり、要約すると

「全員を鍛えてくれ」

っつーとこか。

…何でこんないちいち面倒な役割を…。

別に良いけど。


「えっと、転入生の平 恋風さんだったかな?」


誰かに声をかけられ、後ろを振り向く。

教師だった。


「確かかなりの実力があるんだよね?
 先生と戦ってみんなのお手本に
 なってくれないかな?」


頷きたくはなかったが頷いた。

その反応を見た教師は全員を集めた。


「じゃあお手本を見せるのでよく見ていて下さいね」


そう言うと、私に向き合った。


「では、猫音さん、合図を。」


「…始めッ!!」


猫音の合図と共に教師を私に向かってきた。

まさかとは思うが…。

此奴も弱いのだろうか?

正面突破って馬鹿だろ。


いや、違うな。

コレはフェイントか。

教師が私の背後にくるピッタリの
タイミングで振り向く。

流石に教師も驚いた様だった。

因みに手加減はしない。


ガツンッ!!


私の蹴りが教師の頭の側面に決まる。

いや、決まってなかった。

寸前で後ろに反った。

少しかすれただけか。


ガシッ!!


おっと足を掴まれたか。

なら、右足で蹴りを入れる。

避けられても掴まれても、
左足を離すか、殴れるし。


ガシッ!!


お、つかんだな。

なら、鳩尾目掛けて殴る。


ゴスッ…!!


鈍い音がして私の足は解放される。

というか、こんなに力出して良かったのか?

教師倒れてしまったんだが。

…生徒は生徒でフリーズしてるし。


まずい予感しかしないんだが。






























パチ…


パチパチパチパチパチ!!































何故かは分からないが盛大な拍手が起こった。

この人を倒したのがそんなに凄い事なのか。



「凄いね!!先生倒したの君が初めてだよ!!」



白髪の女が私に話しかける。



「そうだ、掲示板に貼っとこうぜこの大ニュース!」


女の近くにいた男が言う。


「ボクは、あ、知ってるか。君の名前は?」


「…平 恋風。」


「宜しくね恋風ちゃん!!」


白髪の女ー僧正 猫音は笑顔で言った。

何というか…。

人が倒れたのに此奴等…。

しかも男子軍はもうニュースの事で大騒ぎだし。

まぁ、きっとコレがここの普通なのだろう。

あまり、気にしない方が良さそうだ。
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