戦争に塗れたこの世界はボードゲームで勝敗をつけてしまうようで。











































そして5日後…



「…と、言うことなんだけど。」



……。


何だ、意外と簡単そうじゃないか。


荷物を届けに行って、少し詮索してくるだけか。



「ただ、流石にその格好じゃ目立つから
 ちゃんとした着物で行ってくれよ?」



「ああ」



そう相槌を打って私は自室に戻る。


ちゃんとした着物か…。

…ないなぁ。

理事長殿になんて言おうか。

そう思いながらも私は自室の木箱を漁る。

此処に着替えを入れているのだ。


にしても…。

チラリ、と後ろを振り返る。

所々に跳ねている水。

その影響か、いろんなものが濡れている。

…嫌な予感しかしないのだが。


…お。

ちゃんとした着物あった。

紺色と白の矢絣の着物。

うん、これしかなさそうだし、着替えるか。


そう考えて私は何時もの忍装束を脱ぎ、
矢絣の着物に腕を通した。

ちゃんとした着物初めて着たかもなぁ。


柄、似合ってるかな。


そう惚けていると、首裏に水の様な物がかかった。


気がした。


実際触ってみると濡れた後は無い。


































「…え?」


グラ…。


そんな感覚が私を襲う。

ドタ、と、私はその場に尻餅をついた。

何だ…?


平衡感覚が…。

私は額に手を当てて体の力を抜く。


トン、

ふと、誰かの手が私の肩に触れた。

































「ねぇ、君。在原 業平って知ってるよね?」

































顔を上げるとそこには、

黒髪を後ろの下の方で結った細目の男が立っていた。































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