戦争に塗れたこの世界はボードゲームで勝敗をつけてしまうようで。
そう、出てきたのは理事長殿。

鬼よりも鬼の形相してるぞ。

理事長殿ってこんな殺気出せるのか…?

凶々しいというか悍しいというか。

逃げなきゃやられるのが分かる。

それでも動けない…。

なんだこの野獣の目…!!

獲物を確実に捕らえるような、捕食者の目だ。


…ゾワ…ッ


背筋が凍るようなもう一つの殺気。

もちろんそれは夜雪のだった。

こんな奴らがこの世界には沢山いるのか…?

私はコレで強い方だと思っていた。

こんなの見せられたら心折れるぞ。


私は、未だ弱いままなのかー


「今日のところは帰ってあげるねぇ」


夜雪はニヤリと笑いながら窓から出て行った。

私は座り込んだまま着崩れた着物の裾を掴んだ。



ーもし今理事長殿が来なかったらー



そう考えると恐ろしくて動けない。


私が見ていた世界は余りにも小さく無力だった。


「…恋風君大丈夫かい?」


私の様子に気づいた理事長殿は近寄り屈む。


「すまない、いつもはこんなに殺気は出さないのだが…。」


「…何をいうかと思ったら…そんな事か。」


敢えて反抗的な態度を取る。

いや、本心だったかもしれない。

こんなにも強いのに何故隠すのか。

…この学園の全員が弱い理由が分かった。


「理事長殿、これからは存分に力を発揮して
 いただきたいのだが…宜しいか?」


「え?あ、ああ構わないが…何故だい?」


ニヤリと笑い私は言った。






 

























「この学園の強化のために」




























< 16 / 21 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop