戦争に塗れたこの世界はボードゲームで勝敗をつけてしまうようで。




























「『神代の郷』…?」




























聞いた事がないモノで思わず聞き返す。

ん?いや待て。『神代の郷』だと?

神代の郷…神代…。


「ちはやぶる…。」


「正解☆私は在原 業平(アリワラノナリヒラ)。
 十七首の使い手だ☆」


ちはやぶる 神代もきかず 竜田川
からくれなゐに 水くくるとは

意味は確か
はるか神代の神話としても聞いた事がない、
竜田川が紅葉を浮かべ、真紅に水をしぼり染に
していることは。

だった様な…。

きっと此奴の言っている『神代の郷』は
誰も知らない都なのだろう。

あくまで推測だが。

にしても理事長ってなんだ。

あるとしても郷の長ぐらいだろう。

それに『神代の郷』は聞いた事がない。

どんな集団で何処が拠点か。

…政府側か、反政府側か。

どっちにしてもごめんだが。


「その『神代の郷』はどの様な所なんです?」


「おお、気になるかい?」


「いえ、政府側か、反政府側か気になるだけでず。」


男は笑みを崩さないまま、私に近づく。

そして言う。

それは驚きの答えだった。





























「何方でもない。」



























「…何方でもない、だと…?」







































驚いた。

何方でもない組織が存在しただなんて。

此処なら何方にも染まる事はない!

いや、私は何処にも属さない。

属したくない。

他の物で自分が染まるのが嫌なんだ。

だから断る。


「私は属さない。何者にも。」


そうはっきりと。

在原という男に断った。

しかし男はさらに驚きの行動をした。

































「誰が君に選択肢があるなんて思ったんだい?」



そう悪どい笑顔で言われた。

ああ、もう手遅れ何だ、と
今分かった。

最初から私には選択肢など無かったのだ。





























そして此処から知りたくも無い
世間を知り、地獄に突き落とされる事となった。
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