戦争に塗れたこの世界はボードゲームで勝敗をつけてしまうようで。





























「もう、帰れない…。」


寂しげにそう呟く。

しかし彼はそんな私の事はお構い無しに
さらりと嫌味らしきものを言ってくる。


「帰れてたとして何が出来る?」


何も出来ない。

私は家族の「役立たず」だ。

ただの足手まとい。

異能力が発現した時だって
褒めてはくれなかった。

逆に罵られた。

「そんなものはお前には使えない。」

「使えたところでただのお荷物だ。」

「人間じゃなくなったお前は」

「家族なんかじゃない…!!」


そうはっきりと。

私は家族に見放されたのだ。

そして私はそれから何も感じなくなった。

悲しい…?

嬉しい…?

何だそれは。

私にはそんなものが分からない。

だから人というものが1番理解できない。

…ん?

ならば私は今まで何とために生きてきたのだろう。

もしかしてもしかしなくとも生きてきた理由なんて、






























ナカッタ?

































ああ、でもそうか。

仕方ないんだ。

感情がない異能力者なんて、
ただの化け物じゃないか。

ああ何で気付かなかったんだろう。

だって今まで親に愛された事なんて
無かったではないか。

ならもう此処で人生を送った方が
あの場所よりかまだマシだろう。


「嗚呼、確かに何も出来ないな。」


「おや、否定しないんだね。」


「否定して何が生まれる?
 事実は事実。
 私が此処で何を言おうと変わらない。」


「そうか。おや、あと少しでつきそうだ。
 この間に『神代の郷』の一員になるのを
 覚悟しておくんだね。」


「そんなの、もうしてある。」


「ふふ、そうかい?」


此奴が何か楽しそうなのは置いておこう。

『神代の郷』か。

ちょっとは期待してみるとするか。




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