陰の王子様
………そんなこと言われても緊張しない訳がない。
体を丸めようとするも、侯爵家の令嬢として、情けない姿を晒すことはできない。
もう、なるようになれと背筋を伸ばして、今まで教えてもらった挨拶の仕方と姿勢など、ひたすら頭の中で繰り返した。
国王様との面会?は割とあっさり終わった。
思ったよりも大分優しい人だったし、終始穏やかな顔をしていた。
…国王様ってこんな感じだったかな?って考える余裕があったぐらい。
お仕事があるというジョセフさんと別れて、使用人さんの案内のもと城を出る。
「あれ、シンア?」
思わず、ぎくっと肩が上がった。
横の角から出て来たのは、サンチェさんだった。
俯く暇もなく出て来たために、至近距離で目が合う。
「……?コヴィー嬢」
ついて来ていないと気づいた使用人さんがサンチェさんと見合っている私を見て不思議そうにしている。