陰の王子様





一時は騎士団にいた身、いわば、たくさんの男性を見てきた。



…もっとも、騎士団に所属している以上、騎士としての精進が1番だけど、女性に惹かれるのは自然なことで。


目にしてきたのは、女性を前にすると緊張で話せなくなる人や、屈強な騎士ゆえに怖がられる人



まれにサンチェさんのような、女性相手でも、おしゃべり上手な人もいたが、会えない時間が多いという理由で別れたという人がいた。


…なんだか、急に懐かしくなった。
みんなどうしてるかな…、アキは元気かな…。


少し…、少しだけあの頃に戻りたいと思う。


男性の運動量についていくのは、きつかったけど、なんだかんだ楽しかった。



「レティシア嬢?」


肩を軽く叩かれ、ハッとする。

「な、なんでしょう。」

「あはは、すみません。何だか楽しそうなお顔をされていたので、どの話題が楽しかったのかと。」


…すみません、何も聞いてないです。





何て言えず、笑って誤魔化してお菓子を口にする。




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