陰の王子様






私の隣にいるルーミー伯爵家の子息をちらりと見て、初めて会ったように挨拶される。



一瞬何故、と思ったが、最近コヴィー侯爵家の養子になった女が王子と顔見知りだと知られたら困るのだ。




お菓子の乗ったお皿を近くのテーブルに置き、ちゃんと挨拶をする。


「初めまして。レティシア・コヴィーと申します。」



お茶会の参加者のほとんどに色んな視線で見られながらの挨拶は震えるほど緊張する。


深々と頭を下げ、時間をかけて頭を上げれば、王子は微かに笑顔を見せた。

「ジョセフ殿には昔からお世話になっているんた。良ければ今度、コヴィー家にお邪魔しても良いか?」




「えっ…。」




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