陰の王子様
それは、私が判断できるものじゃ……。
かといってこんな大勢の前で、王子を断るのは失礼だと非難されかねない。
「…私は、構いませんが…、正式なことは…。」
「もちろん、ジョセフ殿にも聞いてみる。悪い、困らせたな。」
「いえっ!そんなことは…。」
「では、また今度。」
最近見ていた素の表情ではなく、王子としての凛としたものを感じた。
王子はもう城に戻るらしく、どこからかジェハさんが現れた。
王子とジェハさん、そしてライラ様は屋敷の門へと向かって行く。
3人がいなくなると、女性陣が抑えていたものを爆発させるように盛り上がり始め、私への嫌な視線も再開された。
何を話しているのかは聞こえないが、何故、とか、コヴィー侯爵に、とか聞こえてくる。
…私も帰らせてもらおうかな。