陰の王子様
視線を遮るように、俯きがちで中庭を出ようとすると、ライラ様が不機嫌な様子で戻って来た。
「あら、どういたしましたの?まだ終わってはいませんよ?」
「すみません、私はこれで…。」
「えぇ!どうして!?今日は私、貴方とお話ししたかったのよ?」
薄ら笑いを浮かべるライラ様
仲良くなりたいとか、そういう意味でのお話ししたいではないのは確かだ。
「つまらなかったかしら?…そうよね、貴方は貴族になったばかりですものね。……そうだわ!良かったら私が色々教えてあげましょう。」
腕を掴まれ、ライラ様に引き戻された私は、ずっとライラ様の側に連れられた。
そして、女性たちに再び囲まれたライラ様は、やっぱり昔から変わらない、などと王子の話をしていた。
私と王子は赤子の頃から一緒で、とか。
ライラ様に、どういう思惑があるのか理解できなかったけど、私は話を振られる訳でもなく、ただライラ様の輪から離れないように見張られてた。
…私、貴族としてやっていけない気がする。