陰の王子様
そう言うと、再び唇が近づいてきた。
角度を変え何度も自分の唇に彼女の唇が当てられる。
そんな中でも、ドクドクと気持ちが落ち着かない。
『ロベール国とウィザリア王国の国境付近にいた女』
『クロードが襲わせたの。』
『私も目障りで…』
『襲った事実が広まらないようお父様に協力してもらってね。』
整理できない頭の中が、一瞬弾けた。
瞬間、
「キャッ!」
彼女の肩を掴み、今度は自分が組み敷いていた。
「優しくしなさいよ?まあ、強引なシンアも素敵だけど。」
彼女はこれから始まると思い、自分の下で期待に満ちた目を向けてくる。
とっさにとってしまった行動に自分もどうすればいいのかパニックになってしまう。
それに、なんだか目が重くなってきた。
これはもう、やるしかない。