陰の王子様
事実を知り、整理のつかない感情を彼女に当ててやろう。
そう決め、いつの間にか目を閉じていた彼女に近づいていく。
「おい!!」
突然間近で聞こえた声に上体を勢いよく戻せば、視界が揺れ、グラっと体が傾いていくのがわかった。
誰だ…?
目も開けられず、そいつの正体もわからないまま自分は意識が遠のいた。
「バカか。もう少しで…」
ベッドに横たわるドレスの女と騎士の男
女に見向きもせず、男の様子を確認する。
男は寝息を立てていた。
実は2人が飲んだ酒には睡眠薬が入っていたのだ。
男はとりあえず、正常そうなシンアの様子にホッとし、そばに座って緩くウェーブのかかった髪をゆっくり撫でる。