陰の王子様
「あ、ジョセフ」
「何でこんなとこにいるんだ?そんなたくさん書類抱えて。」
「あはは、あの2人に今必要なのは当主じゃなくて、身なりを整えてくれる侍女たちだからね。」
あははと本当に楽しそうに笑う人
品の良さが全身から滲み出ていて、見るからに高貴な人だと分かる。
アメリアさん、おはようございます。とにこやかに挨拶され、そのまま私と目が合った。
「初めまして。ユヒ・キースと申します。」
「初めまして、レティシア・コヴィーですっ。」
丁寧にお辞儀をしながら、キースという名が頭の中で繰り返される。
ゆっくりゆっくり顔を上げれば、先程よりも顔を緩めた、…キース、公爵が。