陰の王子様







「強引すぎでは。イオ様に説明したんですか。」


「だいぶ嫌な顔をされたが、納得はしてくれたよ。」

「でしょうね。だってイオ様、昔から周りの令嬢に興味なかったですよ。」

「"令嬢"にはな。」


まさか騎士団に好きな子がいるなんて知られたら色々厄介なことになるからな。


そんなことを思いながら国王とジョセフは苦笑いをする。



「まあ、この提案はあの子あってのこと。」

「つまりレティシア嬢が断ればこの話はなかったと。」

「そう。」

「ライラはレティシア嬢のおかげで良い教養を受ける機会を貰えたということ、…またレティシア嬢に恩ができちゃったな。」




「まあ、その分キース御令嬢には辛い思いをさせることになるが。」

「良いんです。少しは苦しみから立ち直る努力もさせないと。それにイオ様からもどうにかして諦めさせてくれと言われていたので。ルシア様、良い機会をありがとうございます。」


「ん。後宮で色々学んだ暁には良い縁談先を紹介しなければな。」


「妻が微笑む身分でお願いしますね。」




夫人たちと子どもたちが出て行った後には、そんな会話がなされていた。






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