陰の王子様





「よく寝たね。1回目覚めてから、また2日寝てたよ。」


「えっ、2日もですか?」


「うん。イオ様は寝れてるか心配してたけど。」




イオ様
その名前に胸がキュンとなる。



「スズミちゃん呼ばないとね。」


スズミちゃん…?とサンチェさんの呼び方に眉を顰めていたのか、サンチェさんが笑顔で言った。

「スズミちゃん可愛いよね。結構タイプ」



「…スズを傷つけたら、私許しませんよ。」



「おお、怖い。」




そう言いながら、全く怖がっていないサンチェさん

ベッドに寝ている私の側にしゃがんで、何かゴソゴソし始める。




そこから出てきたのは、私のネックレスだった。



「ほら、これ。ウィザリアで1番腕の良い職人に直してもらったよ。」



ん?とサンチェさんが首を傾ける。
信じられない気持ちで、恐る恐る手を出して、手にネックレスがのると、涙が溢れた。




それをサンチェさんはハンカチで拭ってくれている。

しばらく泣き続け、収まってきた頃、サンチェさんが一際優しい声で私を呼んだ。





< 338 / 383 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop