陰の王子様
「よく寝たね。1回目覚めてから、また2日寝てたよ。」
「えっ、2日もですか?」
「うん。イオ様は寝れてるか心配してたけど。」
イオ様
その名前に胸がキュンとなる。
「スズミちゃん呼ばないとね。」
スズミちゃん…?とサンチェさんの呼び方に眉を顰めていたのか、サンチェさんが笑顔で言った。
「スズミちゃん可愛いよね。結構タイプ」
「…スズを傷つけたら、私許しませんよ。」
「おお、怖い。」
そう言いながら、全く怖がっていないサンチェさん
ベッドに寝ている私の側にしゃがんで、何かゴソゴソし始める。
そこから出てきたのは、私のネックレスだった。
「ほら、これ。ウィザリアで1番腕の良い職人に直してもらったよ。」
ん?とサンチェさんが首を傾ける。
信じられない気持ちで、恐る恐る手を出して、手にネックレスがのると、涙が溢れた。
それをサンチェさんはハンカチで拭ってくれている。
しばらく泣き続け、収まってきた頃、サンチェさんが一際優しい声で私を呼んだ。