陰の王子様
「レティシア、それさ、よく見たことある?」
「よく、とは…?…これ、気づいたら身につけていたんです。だから、よく分からなくて。」
「じゃあ、よく見てみて。」
楽しそうに笑うサンチェさん
よく見てと言われたため、とりあえず体を起こし、初めて外したネックレスを言われた通り、よく見てみる。
「………何か、あるんですか?」
「分からない?」
「はい。」
よく見るも何も、このネックレスはとてもシンプルなもので、モチーフの半円のような線の長さもそれほど大きい訳ではない。
「そのネックレスの裏さ、実は字が書いてあるんだ。読める?」
「裏に字が?」
シンプルな半円のネックレス
半円自体も線の細いもので、これに字が書いてあるとはとても思えない。
半円を裏返してよく見てみると、確かに何か書いてあるようにも見える線が入っていた。
「小さくて読めないです。」
「俺ね、その字たぶん分かるよ。知りたい?」