陰の王子様





「レティシア、それさ、よく見たことある?」


「よく、とは…?…これ、気づいたら身につけていたんです。だから、よく分からなくて。」



「じゃあ、よく見てみて。」




楽しそうに笑うサンチェさん
よく見てと言われたため、とりあえず体を起こし、初めて外したネックレスを言われた通り、よく見てみる。





「………何か、あるんですか?」


「分からない?」


「はい。」





よく見るも何も、このネックレスはとてもシンプルなもので、モチーフの半円のような線の長さもそれほど大きい訳ではない。




「そのネックレスの裏さ、実は字が書いてあるんだ。読める?」


「裏に字が?」



シンプルな半円のネックレス
半円自体も線の細いもので、これに字が書いてあるとはとても思えない。



半円を裏返してよく見てみると、確かに何か書いてあるようにも見える線が入っていた。



「小さくて読めないです。」

「俺ね、その字たぶん分かるよ。知りたい?」



< 339 / 383 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop