陰の王子様







「レティシア様、目が閉じていますよ。」


「ごめん。…ちょっと眠気が。」


「もう、今日は忙しいと分かっていらっしゃるのに、イオ様は何故手加減をしないのですか。」





スズのその言葉に色々思い出して、俯く。

イオ様と結婚して1か月が経った。
それから毎晩イオ様と幸せな時間を過ごしているけど、未だに恥ずかしくてたまらない。



結婚されたので、もうお嬢様と呼べないからと、レティシア様と呼び方を変えたスズは、いわゆる初夜の日から私の様子を事細かに察知してくれていた。



初夜を過ごした次の日、スズと顔を合わせるのも恥ずかしくなっていた私をスズは優しく抱きしめたのだ。




『お嬢様…、いえ、レティシア様。私は生涯、貴方様にお仕えいたします。頼りないと思いますが、何でもお話ししてください。苦しくなったら私にだけでも言ってください。…っ、レティシア様は私にとって、たった1つの光なんです。』




 
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