陰の王子様
スズの言葉に私は涙が溢れ出し、スズをぎゅっと抱きしめ返した。
『私にとってもスズは大切な友達。……ここに乗り込む私について来てくれた。スズには感謝してもしきれないくらい感謝してるよ。私の方こそ、お願いしたい。…っ、ずっと、側にいてくれる?今までみたいに、友達みたいな距離感で、…そうしてくれると1番嬉しい。』
『っはい!』
スズときつく抱きしめあった時のことを思い出して自然と顔が緩む。
そんな私を鏡越しに不思議に眺めながら、スズは髪を綺麗にしてくれる。
その後ろでリンが忙しそうにあちこち動いている。
今日は、本当に大事な日
痛む体に鞭を打って、しっかりこなさないといけない。
私が初めて、イオ様の妃として他国の王族をもてなす日なのだ。