陰の王子様
初めて見る王妃…、いや、女王レイナ様は静かであるが、強い芯を持った王に相応しい人物だと感じた。
「優しい方ですね。ですが、私が勝手にやる分には受け取ってくださいますか?」
えっ?
「あの里の再建を考えているの。あそこは他国からも避暑地として人気だったから。」
「で、でも…、住んでた人たちは、みんな…。」
そう言った私に、レイナ様はものすごく優しい笑顔を見せた。
「実はね、私も少し前に知ったのだけど、生き延びた里の住民は、イオ王太子殿下が保護してたらしいの。」
「え?……イ、イオ様?」
目が大きく見開かれたまま、イオ様に振り向けば、イオ様は1つ頷いて。
「23人。ウィザリアで生活してるよ。『レティシアお嬢ちゃんに情け無い姿見せられない。』それが全員の口癖だな。」
優しい笑顔のイオ様を見て、膝から崩れ落ちる。
大きくて温かい胸元に抱き寄せられる。
私はその胸元を押し倒すぐらいの勢いでしがみついた。
「っ……生きて、いる人が?何でっ、イオ様が…?」