陰の王子様





みんなが後ろの離れたところにいるイオ様を見て、さらにぎゅっと固まる。


ひそひそ声になったのを聞いて、なんだろうと少しドキドキする。





「初めて王子様に会った時、最初のひと言目何だと思う?」


「……何でしょう。」








「レティシア・トレスさんが好きなんです。だから、彼女の生まれ育った里も大事にしたい。」




ドキドキしていた胸が、ぎゅーっと掴まれた気がした。



「びっくり通り越して、え?って言ったよ。」


「大人みたいなこと言う子どもだなって。」


「確かあの時は15って言ってたよね?」


「呆気に取られて、とりあえず話を聞くしかなかったんだよ。…そしたら、レティシアお嬢ちゃんが好きなんですって。そればっかり言うんだよ。」




私、こんなに愛されて良いのだろうか。


…こんなことを思うぐらい、イオ様に長年愛してもらってた。
イオ様の思いが伝わって、伝わって、幸せすぎて。



< 374 / 383 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop