陰の王子様
みんなが後ろの離れたところにいるイオ様を見て、さらにぎゅっと固まる。
ひそひそ声になったのを聞いて、なんだろうと少しドキドキする。
「初めて王子様に会った時、最初のひと言目何だと思う?」
「……何でしょう。」
「レティシア・トレスさんが好きなんです。だから、彼女の生まれ育った里も大事にしたい。」
ドキドキしていた胸が、ぎゅーっと掴まれた気がした。
「びっくり通り越して、え?って言ったよ。」
「大人みたいなこと言う子どもだなって。」
「確かあの時は15って言ってたよね?」
「呆気に取られて、とりあえず話を聞くしかなかったんだよ。…そしたら、レティシアお嬢ちゃんが好きなんですって。そればっかり言うんだよ。」
私、こんなに愛されて良いのだろうか。
…こんなことを思うぐらい、イオ様に長年愛してもらってた。
イオ様の思いが伝わって、伝わって、幸せすぎて。