陰の王子様
また涙が出ていたのだろう。
1人、また1人とみんなが私の涙を拭ってくれ、『良かったねぇ』と言ってくれる。
「イオ様〜!」
「王子様、お嬢ちゃん泣かせちゃったよ!」
みんながイオ様を呼ぶから、恥ずかしくて慌てて涙を止める。
「どうした。大丈夫か?」
肩を優しく抱かれ、頭を撫でられる。
こくりと一度頷いて大人しくイオ様に寄り添う。
「王子様、本当おめでとう!」
「長い片思いが実って私ら嬉しいよ!」
「あの時、私らとトレスご夫妻に誓ったからね。『レティシアは俺が守ってみせます!』ってね。」
「ちょっと、言い過ぎですよ。」
「言わせてよ〜。本当嬉しくて最高なんだ!」
「全く、みんな俺のこと色々レティシアに言い過ぎだろ…。」
王子様良かったねー!と自分のことのように喜ぶみんなを見て、イオ様は私にしか聞こえない声で呟く。