陰の王子様
「それ、サンチェか?」
腰に手を回してくれてるイオ様が確信してるかのように聞いた。
「はい。…サンチェさん良い人なんですけど、ちょっと心配です…。」
「まあ、そう思うよな。」
苦笑いのイオ様
だって、女性になら基本誰にでも優しいから、もし2人がくっついた時に、スズの気苦労が絶え無さそうだ。
「でも、サンチェ本気かもな。俺に言ってきたから。」
「えっ、本当ですか!?」
「ああ。気になってるってわざわざ言いにきた。」
サンチェさんをダメだと思ってるとか、そういう訳ではない。
ただサンチェさんは男女関係なく慕われやすいから。
サンチェさんは人としてとても素敵で、選んでもらえるなんて光栄なことなのは確か。
でも親友のスズが悲しむことがあって欲しくないんだ。
見守るしかない。
この10年皆さんがイオ様を見守ってきたように。