陰の王子様
あの夜からの記憶がない。
ここ、王都にいるということは無事に帰ってこられたんだろうが…。
「あんな未来になるのか…。」
ハハッと乾いた笑いしかでない。
王都にある大きな噴水に腰かけ、ボーッと眺める。
今日は騎士の仕事を放り出してきた。
ローガンさんに怒られるな…。
そうやってずっと、未来のこと、仕事を放り出したことをぐるぐると考えていると、次第に雨が降ってきていた。
気づいた時には、既にびしょ濡れで…、
もう、全てがどうでもよくなってきた。
強まる雨に動じず、噴水に腰かけていると、
「シンアさん!?」
「シンアさん!シンアさん!大丈夫ですか!?」