陰の王子様
「……キラ、さん?」
自分の肩をバシバシ叩いていたのは、前に王都の見回りで助けたキラさんだった。
「こっち来てください!」
手を掴まれ、どこかに走って連れていかれる。
着いたのは小さな家だった。
「これで拭いてください!今、部屋を暖かくしますから!」
バタバタと動くキラさんに、やっと自分の状況に気づいた。
全身びしょ濡れで、視界に入る真っ黒な髪からボタボタと滴が落ちている。
とりあえず髪だけでもと思い貸してもらったタオルで拭く。
「こっち来てください!服も脱いで乾かしましょう!」
ドア付近にいた自分をキラさんが呼び寄せる。
キラさんのところに行けば、火が起こしてあり、途端に寒気を感じた。
「これ脱ぎますよ。」