1日限定両想い
「新田先生は何も悪くないの。」
裾を掴んだまま、なんとかこの状況を変えようと必死で言葉を繋ぐ。
「悪いのは私で…全部私が…。」
『須崎。いいから。』
「新田先生は私を助けてくれたの。」
黙って聞いていた菊池先生の表情がさっと変わる。
落ちているお弁当バッグ。
座り込んでいた2人。
カーテンが閉められたままの相談室。
助けてくれたという言葉にはすぐに結びつきはしないと思う。
でもどうして今ここにいるのかを説明できる気持ちの余裕までは持っていなくて、菊池先生は眉間にしわを寄せたまま考え込んでいた。
『菊池先生、詳しくは後で話します。須崎はとりあえず何か食べろ。弁当大丈夫かな…。』
私のお弁当を拾ってテーブルに乗せる新田先生の背後で2人、ただ言葉もなく視線を交わしていた。
だけど探るように揺れる菊池先生の瞳を見ていると、あのときみたいに胸に飛び込みたくなってしまいそうで、目を逸らした。