1日限定両想い
時間は流れる。
菊池先生がいなくなって、新しい教師が来ても、日々は変わらずに流れ続ける。
夏休みが明けるのを俺はずっと怖れていた。
それは須崎が菊池先生が辞めたことを知るきっかけになるからだ。
『新田先生。』
2学期が始まってしばらく経った頃、放課後に須崎から声をかけられた。
きてしまったと思った。
「どうした。」
『あの…。』
「準備室行くか。」
心細げに佇んでいる須崎を連れて数学準備室へ入ると、カーテンが引かれたままで薄暗かった。
窓際へ寄ってカーテンを開けようと手を伸ばすと、一息早く須崎がつぶやいた。
『私のせいですよね。』
「違う。」
『菊池先生が辞めたの、私のせいですよね。』
疑問ではなく確信。
そんな言い方が胸に刺さる。
「須崎、それは違うぞ。」
『でも…』
「菊池先生は自分で考えて、自分で決めたんだ。」
『それでもやっぱり私のせいなんです。私が、』
何か言いかけてはっとしたように言葉を止める。
でももう、俺には分かってる。