1日限定両想い
『あの頃の須崎さんはすごく不安定な時期だった。そこに付け入るみたいにして近付いたんじゃないかって勝手に思って、これ以上2人を近くに置いてはおけないって思ったの。』
菊池先生からの手紙をぎゅっと握ったのか、くしゃっと音を立てる。
突然辞めると言い出したと思っていた。
だけどそこに至るまでには、竹石先生とのこんな経緯があったんだ。
須崎の前から消える。
そう言った菊池先生の声が遠くで聞こえた気がした。
『菊池先生が辞めたのは私のせいなの。私が菊池先生を追い込んだ。』
「そんなことないですよ。それは菊池先生が自分で決めたことで…」
こんなやりとりを前に心詠ともしたことを思い出して、ふと言葉に詰まる。
辞めてから1年半以上が過ぎた今でも、菊池先生の存在はあまりにも大きかった。
『最初に届いた手紙は普通の近況報告で、私も何気ない返事を書いた。でも、本当はどこかでずっと後悔してたの。』
竹石先生の苦し気な声に胸が詰まる。