1日限定両想い
いちかばちかだった。
電話が繋がらなければ、心詠にも何も話さずに諦めて東京へ帰る。
何事もなかったかのように、心詠と付き合い続ける。
電話が繋がれば、菊池先生と真正面から向き合う。
何の見通しもなく大阪へ来たが、電話は昨夜繋がった。
一方的に俺の想いだけを話してしまったような気がするけれど、菊池先生の気持ちは充分に伝わった。
心詠のことを何ひとつ忘れられず、今も同じだけの想いを抱えていることが。
『いい天気だなぁ。』
「そうだな。」
菊池先生がどうとかじゃなくて。
菊池先生と心詠がどうとかでもなくて。
ただ、心詠に幸せでいてほしいだけだ。
『たこ焼き美味しかったね。』
「まだご飯の話するか。」
『動物も可愛かったよ。』
「付け足したな。」
たこ焼きを食べてから動物園へ行ったけれど、心詠はやっぱりたこ焼きが1番気に入ったようだった。
2人で笑い合っていると、時間はすぐに過ぎていく。
傾き始めた太陽を感じながら、すっと心詠の手を放した。