1日限定両想い
『いつかまた渉さんに会うから青波さんとは付き合わない。もう二度と渉さんには会わないから青波さんと付き合う。あのとき私は、そのどちらかを決めなきゃいけなかった。』
涙は流さず、ただ言葉がこぼれ落ちるように話す須崎から目が離せなかった。
2年という期間は、人をこんなにも大人にさせる。
俺がいなければいけない、守らなければいけないなんて、時間が止まっていたのは俺だけだったと痛い程に突き付けられる。
須崎はもう、しっかりと自分の足で立っていた。
『私やっぱり、青波さんを…』
「行くな。」
先も分からない言葉を遮って、とっさにその手を掴んでいた。
ずるいことも情けないことも分かっている。
だけどこの手を絶対に放したくなかった。
『青波さんを、傷つけただけだった…。』
涙が一筋流れた瞬間、須崎がそっと寄りかかってきた。
『こんなに渉さんのことが好きだったのに…一緒にいてごめんなさい…。』
そのごめんなさいは、もう新田には届かない。
苦しみも後悔も、全部一緒に須崎を抱きしめた。