1日限定両想い
牛丼屋で飯を食ってから外へ出ると、辺りはもう真っ暗ですっかり夜だった。
カップ麺がそろそろ切れそうだったなと考えながら駐車場を歩いていると、敷地内に走って入ってきた1人に目が吸い寄せられた。
「須崎?」
制服ではなかったことで気付くのに遅れたが、それは確かに須崎だった。
Tシャツにジーンズという部屋着のような格好の背中をとっさに追いかける。
今までに見たことがない、余裕のない表情をしていたから。
「須崎!」
俺の声に気付いて振り返った須崎は、大きく肩で息をしながら困ったように瞳を揺らしていた。
駐車場の隅、植木の傍に立ち尽くしている須崎の元へ行くと、その頬に涙が見えて心臓が跳ねた。
「須崎…どうした?」
『先生、どうしよう…おばあちゃんが…』
そこまで言うと堰を切ったように泣き出した須崎に俺の鼓動は速まるばかりで、どうすることもできなかった。