1日限定両想い

どんどん深くなる夜の闇の中を駆け回っていると、不意にスマホの着信音が響いた。



『お母さん。』


画面を見た須崎がすぐに電話に出ると、しばらく何か話した後でその場にしゃがみこんだ。



「大丈夫か。」

『おばあちゃん、見つかりました。弟が電話して…。』

「そうか。良かったな。」


家に残っていた弟が母親に連絡し、母親が探して見つけたのだろう。

言葉は少なくともそう伝わってきて、ようやくほっと深い息を吐いた。



「母親、電話出てくれるやん。仕事中でもとりあえずかけてみたら良かったのに。」


安心したのかなかなか立ち上がらない須崎に声をかけたけれど、何の反応も返ってこなかった。

ふと心配になって前に回り込んでしゃがむと、スマホを握りしめたまま静かに涙を流していた。



『ごめんなさい…。』

「須崎?」

『ごめんなさい…ごめんなさい…。』


とめどなく流れる涙を拭うこともしないその姿に俺の中の何かが切れて、気付いたときには抱きしめていた。



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