1日限定両想い
「とりあえず連絡しよう。父親か母親、この時間に繋がりやすいのはどっちや?」
俺の問いに、須崎は無言で首を振った。
かけたところでどっちも繋がらないということか。
「警察行くか?」
『それはやめてください。私が探しに行きます。』
「待て。」
走り出そうとした須崎の腕を掴むと、その細さに驚いた。
冷静にならなければいけない。
今目の前にいるこの子を助けてあげられるのは、俺しかいない。
「1人では危ないやろ。俺も一緒に探す。」
『でも…』
「ええから、行くぞ。」
掴んだままの手を引くと、須崎も走り出した。
あまり遠くには行っていないだろうと、建ち並ぶ店の灯りを頼りに周囲を探す。
いなくなった祖母。
そのことを連絡しない両親。
1人で探す須崎。
この状況を必死に理解しようとするが、やっぱり俺たちの関係性も情報もまだまだ少なくて、何も分からない。
この子、まだ高校生だぞ…。
そんな誰に対してなのか分からない苛立ちだけがただ俺の胸をかき乱していた。