秘密の片想い

 私は二年前、三嶋の前から突然消えた。
 それなのに、彼はなにも聞いてこなかった。

 小さな定食屋は、近くの会社員でいっぱいだ。
 少しすると、壁際の二人がけのテーブル席へ通された。

 三嶋は唐揚げ定食屋を大盛りにして、私は煮魚定食にした。

 いつも三嶋は豪快に食べて、その姿は清々しいくらいだったなと、懐かしくなる。

 出されたお茶を啜り、三嶋が呟くように言った。

「綺麗に、なったな」

「なにを」

 突然の爆弾に顔が熱くなりそうで、必死に平静を装う。
 三嶋も、照れたように笑う。

「ハハッ。なんか調子狂うな。いつも俺らの周りには、ケンケンとスッチーがいたから」

 いつも三嶋を含めた4人でいた。

 ケンケンは羽田健斗(はねだけんと)
 笑うと目がなくなるような優しい顔立ちで、性格もどちらかと言えばビビリなお人好し。

 スッチーは須藤瑠夏(すどうるか)
 表情を崩さない美人で、ストレートな物言いに最初は驚いたけれど、根は優しい面倒見がいいタイプ。

 みんな同じ歳の同期。

 三嶋は今みたいに調子のいい発言をして、ケンケンか瑠夏が「軽い奴」だとか、「気持ちがこもってない」とか、言って。

 楽しかった。
 ふざけあって、冗談ばかり言い合って。
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