秘密の片想い
「ケンケンがさ、いい加減、スッチー諦めようかなって言ってる」
懐かしい話に目を細める。
「そうなんだ。瑠夏、長いこと付き合っている恋人がいるもんね」
「まあ、ケンケンには高嶺の花だよなあ。スッチーは。でも、ケンケンいい奴なのに」
「それ、ケンケンには褒め言葉にならないでしょ」
「ああ、まあ、そうなんだけど」
いつも女性に「いい人過ぎて男として見られない」と言われ、振られるらしい。
少し話せば当時の関係に戻れたように、自然に会話が続く。
「シーは、タケウチ保険事務所でも頑張ってるみたいだな。武内所長が言ってた」
「それは、もちろん。頑張りますよ」
「うん。そうだよな。安心した」
そうやって、甘やかすような優しい言葉を、当たり前にかけないで。
どうして突然いなくなったんだよ、とか。
連絡も取れずに心配したんだぞ、とか。
非難されるかもって思っていたのに。
蓋をしている気持ちは簡単に揺らぎそうになり、テーブルの下でギュッと手を握りしめる。