秘密の片想い

 どうしてか、嫌な予感がして、その先を聞きたくないのに、三嶋は続けて言った。

「昔、付き合った女がゴムに穴」

「馬鹿、その話」

 ケンケンが止めたけれど、私には聞こえてしまった。

「悪い。シーには、刺激が強過ぎたな」

 口先だけの謝りの言葉は、虚しいだけだった。
 私はなにを思ったのか、よく知りもしないで発言した。

「私だったら、旦那さんはいらないから、子どもだけでもほしいくらいだよ」

 三嶋の私への子ども扱いも、ケンケンの私への見当違いな気遣いも。
 すごく嫌で、どうにかしたかったんだと思う。

「シー。そんなのダメだ」

 三嶋が、今まで見せたことのないような顔つきで、私を叱った。
 私はやり切れなくて、思ったままをこぼした。

「三嶋に、そんなこと言われる筋合いない」

 息を飲んだ三嶋が「そうだよな。ごめん」と小さく謝った。

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